
DAYS
第17章 All I Want For Birthday Is M×A
1人の朝は、寒かった。
こんなの初めてだった。
ちょっと期待してたの。
もしかしたら、朝起きたらベッドの上に
いるかもー、なんて。
潤は、俺がソファーで寝てたら
絶対に寝室まで運んでくれてるから。
だけど、朝起きても
夜と同じ景色が広がってた。
「帰ってきてないの…?」
連絡もなしに家を開けるなんて、
今まで絶対になかった。
俺が1人の時は、
メールや電話をしてくれてたから。
それからマネージャーが迎えにくるまで、
何をしてたかあんまり覚えてない。
マネージャーの鳴らすインターフォンの
音で、気が付いた。
「相葉さん、大丈夫ですか?」
「え?」
「目が腫れてらっしゃるので…。」
「あっ…。あー、これね!
昨日映画見ててさぁー!
冷やすの忘れてたの!」
とか下手な言い訳かまして。
マネージャーは気付いてると思う。
潤と仕事が同じの時は、
一緒に行ってたし。
だけど、マネージャーは何も聞かないで、
「あとで冷たいタオル、ちゃんと
当てててくださいね。」
そういうだけで、深入りしてこなかった。
楽屋でもそわそわして。
不安だった。
「おはよー。」って何にもない顔して
入ってくる潤を見たら、泣いてた。
「はぁ。情けない。」
潤にも何か事情があるって
わかってる。
けど…。
怖くて聞けないよ。
「相葉さん、目が真っ赤じゃないですか!」
「あ、バレました?」
「大丈夫ですか?」
「はい。迷惑かけてすみません。」
メイクをいつもより濃くしてもらって
何とかごまかすけど…。
ひどいな、自分。
撮影の時だって、
「相葉さん。もうちょっと自然な感じで
笑顔、こっちにお願いします。」
カメラマンさんが、手をひらひらと
レンズの横で振りながら言ってくる。
いつもなら、
「はーい!」って言って、
すぐに出来るはずなのに…。
…笑えないよ。
泣いちゃダメ。
仕事にプライベートを持ち込んじゃダメ。
分かってる。
分かってるよ、全部。
だけど、苦しい。
結局その日は、
謝ることしか出来なかった。
