
DAYS
第15章 SUPER LOVE SONG A×S
本当は、
「おはよー!翔ちゃん。」
って言って、飛びつきたい。
だけど…。
あんなの見せられたらさ、
俺、嫉妬するから。
「雅紀ー?」
心配してる翔ちゃんの顔が
見える。
今近づかれたら、
何を言うか分かんない。
カバンからヘッドフォンを
取り出して、一切の音を遮断
しようとしたら、
「聞こえてるの?」
ヘッドフォンをつけようとしてた手を
取り上げられる。
あ。
初めて手、繋いでる。
もっと感動的なものだと思ってたのに
案外あっさりだなぁ。
…掴まれてる、に近いけど。
「…聞こえてるよ。」
「じゃあ、何で挨拶してくれないの?」
「…。」
「ねぇ、雅紀。」
やめて。
俺、翔ちゃんのこと、傷つけたくない。
俺は黙ってヘッドフォンを
つけようとする。
それを翔ちゃんが許す訳がなくて
俺の手を掴む手に、より力が入ってる。
「痛い。離して。」
「やだ。」
いつもの翔ちゃんなら、
絶対に離してくれるのに。
やめてよ。
他のヤツに触れた手なんかで、
俺に触れないでよ。
「雅紀ってば!」
そんなに力入れたら、
痛いよ、翔ちゃん。
でも、それ以上に胸が苦しい。
こんな事なら、もっと早く
手、繋いどけばよかった。
「やめろよ!!」
「っ。」
突然出した大きな声に、
驚きを隠せてない翔ちゃん。
「触るな…。」
「…え?」
「他のヤツに触れた手なんかで、
俺に触らないでよ!!」
もう最悪だ。
何もかも滅茶苦茶。
固まってる翔ちゃんの顔。
大きな漆黒の瞳が、
どんどん水分を含んでくる。
やがてそれは溢れて、
ぽろっと一滴、零れ落ちた。
そこでやっと我に返った。
何やってんだ、俺。
「翔ちゃー…」
「おはよーございまーす。
あれ、お2人さん、早いですね。」
なんちゅー絶妙なタイミングなんだ。
「ニノ、おはよ。」
「おはよ。翔さんもおはよ。
…翔さん?」
「ごめ。ちょっと…。」
何も持たないで、一目散に
飛び出してった翔ちゃんの背中を
見つめるしか出来なかった。
