
DAYS
第10章 ためらいは捨てて S×N
「綺麗だね…。」
「うん…。」
ライトアップされたシンデレラ城の前。
その下で行われてるパレードを、
列の一番最前列で見てる。
シンデレラ城をバックにしてるパレードは、
ロマンティックで。
本当に言葉が出ないくらい感動する。
シンデレラ城の前。
握られた手の暖かさに、
『ずっと一緒にいられますように。』って
願いを込めた。
「楽しかったね。」
「うん!」
「喜んでくれた?」
翔が車を運転しながら聞いてくる。
「うん。」
「そっか。」
よかったぁ。って、隣で安堵の息を吐いてる。
「ごめんね?運転してもらっちゃって。」
「いいんだよ。」
「翔、疲れてるでしょ?」
「そんな可愛い子ちゃんに運転させらんない。」
翔に言われて、自分の格好に気づく。
女装してたんだった。
「ごめん…。」
「いいんだって。」
俺の髪をくしゃくしゃってしてくる翔。
やっぱり、こういう時間が好き。
さっきみたいに、
いつもとは違う特別なところにいって、
いつもと違う翔を見るのも好き。
だけど、こういう何気ない時間が
何よりも大好きなの。
隣にいてくれてるんだ、って実感出来るから
この時間が堪らなく好き。
こんな時間の積み重ねで、
これからもずーっと。
翔の事を好きなんだろうなって。
それを考えるだけで、幸せんだもん。
「ほら。着いたよ。」
「あ。ありがとう。」
「いえいえ。」
そんなことを考えていたら、
もうマンションの駐車場に車は止まってた。
助手席のドアを開けて待ってくれてる翔。
車から下りると、腰に回される腕。
夢の国を出た現実で、その少しの刺激でも
びくつく体。
それに気付いたのか、翔は
「もうちょっと我慢ね…。」
わざとでしょ?
耳元で、そんな声で言うなんて。
欲しいって思ってるのは、俺だけじゃない?
我慢なんて出来ない。
部屋までの距離も、いつもより遠い。
「ただいまー。」
玄関に入ると、すぐにドアを閉めた。
と、同時に、翔に抱きつく。
「翔…。」
「可愛いね、和也…。」
吸い寄せられるように、唇が触れた。
