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第44章 -Laundream- by しーま
「え、俺そんな顔してた?」
「うん、すっごい焦った顔してさ」
ベンチで背中を丸めるきょとん顔に、思い出し笑いを浮かべながら振り返った。
「あと大ちゃん、また靴下裏返したまんま」
「え?あぁ、ごめん」
乾燥機から服を全部取り出して、眠そうなその隣に腰掛けた。
12月24日。
街はすっかりクリスマス。
去年の今頃は、まだ何も始まってなかった。
今年のクリスマスは、
いや…誕生日は、もう一人じゃない。
「相葉ちゃん、ケーキどうする?」
「あ〜駅前のとこにする?」
「え、そこクリスマスケーキしかなくねぇ?」
あの日手を差し伸べてくれたサンタは、
それからずっと、俺の隣に居てくれている。
「ま、いんじゃない?行こ」
洗濯物が入ったカゴを抱えて、年季の入った戸をガラガラ開けると、ひんやりした空気が頬を掠めた。
今年もあの日のように雪が降り積もって、
道路や屋根に眩しい白が広がっている。
「相葉ちゃん、こけんなよ?」
「…そしたらまた助けてよ」
ふふっと笑うと、二人の間に白い息が立ち昇った。
陽が傾きかけた、夕暮れどき。
コインランドリーから、二つの足跡だけが伸びていた。
end
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