
いつまでもここに居て
第14章 ※サングリアの深海魚[54]
□松本part□
「ニノをここに連れていきたいなって思ってたんだ。今日は何も考えなくていいから楽しんでよ」
そう言って最後に連れてきたのは江ノ島水族館。
夜は人も少ないし、丁度いいと思ってたんだ。
「夜ってなんか新鮮だね。」
ワクワクしているニノの手を握った。
「夜の水族館は人のこと気にせずこうやって手を繋げるのも醍醐味だよ」
ニコ、と笑うと顔を真っ赤にしたものの嬉しそうに笑うニノ。
「早く見に行こう」
「うん」
そう言ってゲートを抜けていった。
沢山の魚の群れ。自分も海の中にいる感覚になる。ふわふわと泳ぐ魚に釣られて自分も海中にいる感覚に飲み込まれそうになる。
キラキラと光る鱗や、光沢。海面の優しい光に照らされた魚達はゆったりと泳いでいる。
「綺麗…」
水槽の中をじっと見ているニノはうっすらと光を受けていた。
透き通る肌をさらに白くさせる光。
薄い唇にも光が乗っている。
とても綺麗だった。
