1人じゃなくて。
第6章 No.6
「はぁ…はぁ…っ……」
すっかり息を切らしたら要と
「乱暴は良くないなぁ、要」
余裕の笑みを浮かべた伊織が戻ってきた。
「お疲れ様で―す。」
シロは二人を見て、いつもの事のように声をかける。
すると…
「奈瑠。伊織に…何かされたか…?」
要が奈瑠の前にかがんだ。
見上げてくる目が、不安の色を醸し出している。
「ううんっ!なんにも…………さ、れてない…」
されてないよ
うん…
みるみるうちに赤くなっていく奈瑠。
「……っ………まぁ、今日のところは10万歩譲ってよしとして」
「悪いな朝から。騒がしくて…。」
頭を撫でられる。
優しく気遣ってくれる要。
「いえ…皆さん面白くて…………楽しいです。」
要につられて、奈瑠も笑った。
彼女にとって、朝からこんなに人の声がするのは…数年ぶりだった。
話さなきゃ…
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