1人じゃなくて。
第6章 No.6
キスをされた
頬に。
心臓がうるさい。
顔が熱い。
瞬き出来ない。
「…ふっ、面白い子だね。俺は望月伊織(もちづきいおり)」
伊織は、頬から手を離すと奈瑠の前の席に座った。
「あ、あぁあの……え、っと…」
小さくなって、明らかに戸惑っている奈瑠はよそに、伊織は手をあわせた。
「伊織、初対面でそれはないよ。」
奈瑠の頭を撫でているシロ。
それすらも困って、奈瑠はなかなかご飯に手をつけられないでいた。
「外国じゃ普通だよ?挨拶あいさつ」
電撃が走るような笑顔を浮かべ、伊織は味噌汁に手をのばす。
「いや、軽く音をたてるだけで…直接はしないんだよ…………って、奈瑠ちゃん大丈夫?」
「はい…………」
大丈夫っていうか…
びっくりした…
「食べるんで……その、………手を…」
「あ、ごめん。」
ぱっと頭を撫でていた手を離す。
「なんか手触りが良くて。」
などと言いながら、シロは残りのご飯を全て平らげた。
伊織さん、甘い香りがした…
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