
先生…お願い。早く治して・・・
第98章 別れ…それとも…
石川「……。」
綾『先生と…離れたくない…っ』
石川「…言っただろ?俺は医者だ。自分の身体も大事にしない…、治療もしない奴と一緒にいるのは無理だ!」
綾の目をしっかり見て言い切った
綾『やだっ!!…お願いっ!捨てないで!!』
石川「先生は、今の綾みたいに逃げている子は好きじゃない。どんなに嫌でも辛くても逃げずに一生懸命頑張ってる子が好きなんだ。」
綾『んえっ…っ…んえっっ…っく、やだぁっ…ック、頑張るから…んえっ…だから…だからお願いっ…嫌いにならないでっ!…んえっ…捨てないで!…んっ…んえ〜んっ…』
あれだけ流せなかった涙が今は止めどなく流れる
涙でくしゃくしゃな顔で泣きじゃくる綾を見て、石川の表情は安堵した様にふっと弛んだ
石川は立ち上がると綾のベットへ腰掛け
綾の首の後ろに腕を入れ身体を起こした
綾は飛びつくように力の限り石川に抱きついた
綾『んえッ…んえっ…せんせ…せんせ……お願い…っ…ちゃんとっ…ちゃんとっ…っ、治療っ…するからっ、嫌いにならないでっ…んっ…んっ…』
石川は抱き付く綾の頭に手を当てると、自分の胸にそっと引き寄せた
石川「先生、これ以上優しく出来ないぞ?」
綾『良いっ…!!』
石川「今日みたいに、これからも沢山怒るよ?」
綾『良い〜!!』
石川「他の病院の先生の方が、沢山優しくしてくれるかもしれないよ?それでも良いの?」
綾『他の病院なんて絶対イヤ!!行かない〜っんえ〜ん。。先生じゃなきゃ嫌なの〜!!せんせ以外は絶対イヤっ!っ…』
声をあげ、石川の胸の中で泣きじゃくった
そしてまた、痛みの波がやってくる
綾『っ…ック…んっ…んえっ………ぃ、いたい…っ…んんっ…ぃたいよ…』
胸の中で声を押し殺し、痛みに耐えるが、強い痛みに呼吸が乱れる
石川「ったく、こんなになるまで我慢する奴があるか。抱きしめたまま腰の辺りを優しく摩った」
綾『……ごめんっ…ック…なさぃ。』
石川「綾、治療するぞ?良いな?」
胸に埋める綾の顔を覗き込む
綾は小さく胸の中で頷いた
