誰かお願いつかまえて
第4章 俺はお父さんなんかじゃない
「「!!!」」
嫌な感じがした。
酔っているから感情が不安定になって泣いたのかもしれない。
その可能性が大いにあるのは分かっていても、なぜか絶対に違うと確信していた。
『大丈夫って何?
おめでたいことじゃん!私の誕生日とかぶるなんて、なんか得した気分!』
何が幸村の誕生日とかぶったんだ?
なんでこんなに強がっている?
『そしたら絶対空けとく、その日』
声だけは明るかった。
泣いていたと感じさせない声音。
だけど顔色が悪い。
『行くって言ってんじゃん!なに?私が行ったらいけない?』
何かにむきになっているんじゃないのか…?
『好きじゃない!大地のことなんて好きじゃないから!!!』
そう怒鳴って駆け出してしまう。
「幸村!」
呼び止めると振り返った。
『大丈夫です!
…今は1人にしてください』
彼女が無理やりつくった笑顔は痛々しかった。
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