誰かお願いつかまえて
第2章 仕事人間
『幸村ただ今戻りましたー』
「おーお疲れ様。っておい、お前南のこと泣かしたのか?」
川端が私の後ろからついてきた南ちゃんの少し赤い目に気づいて大げさにため息をつく。
『私がなんで南ちゃん泣かさなきゃいけないわけ?
あんたじゃないんだから私は人に優しいんですー』
「お前以外にはちゃんと優しいから安心しろ。
――みなさーん、幸村が後輩のこと泣かせましたー」
川端の声で昼食中の社員たちが一斉によってくる。
『ちょっと、違いますって!』
「ほんとだ!大丈夫か、南?」
「かわいそうに…。幸村に何言われたんだ?」
「言ってみろ?俺達が守ってやるからな?」
男性社員たちがノリで南ちゃんの味方をしてるのを見て、女性社員たちは苦笑してる。
ていうか、助けてよ…
「あの違うんです!実は――」
そう言ってさっきの出来事をかいつまんで説明する南ちゃん。
かなり美化されてるし…
「―さすが、幸村!男の中の男だな!」
「よっ!日本一!!」
おだてる男性社員たち。
『女です!ていうかそんなかっこいい話じゃないですからね?
私、このあと打ち合わせあるんで!』
そう言って私は逃げ出した。
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