
誰かお願いつかまえて
第9章 女たちの戦い
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「終わったら戻ってきてね!」
とユズに言われてスタジオを後にした私たちは、新規のお客様のところへ行ってきた。
向こうの担当者さんが男性だったからか、イケメン2人より私の方を見て話しかけてきて、焦った焦った……
『ハァ…』
上手く対応できたか不安になり、さっきから溜息が止まらない。
「こら!ため息つくなー。幸村の説明は良かったぞ?向こうも喜んでたしな」
『本当ですか?でも岡崎さんに言われても……』
「素直に受け取っておけよ!でも今日のお前は本当によかった!」
…なんか、川端機嫌いい?
『ありがとう、ございます…?』
「さぁ、写真見せてもらいに行きましょう!!」
遊園地に向かう子どもか、お前はっ!
スキップでもしそうな川端を見て、岡崎さんも苦笑する。
『自分が写った写真そんなに見たいって…。川端って……ナルシストでしたっけ?』
「あー…そうだったのかもな」
私に笑顔を向ける岡崎さんは、いつも通りで。
(モデルさんに向けてたのは余所行きの笑顔だったなぁ…。私にいい顔する必要ないもんね……)
「岡崎さん何言ってんですか!俺はナルシストじゃないからな!」
私に向かって何故か顔を赤くして言う川端が面白かった。
