誰かお願いつかまえて
第8章 持つべきものは………
――
「着いたぞ」
来てしまった……川端の家に!
嫌なら帰ればいいはずなんだけど、やっぱり1人は怖くて……
グイッ、とずっとつないでいた手を引かれて川端と距離がつまる。
『なな、何?!』
そういえばこの距離、今週多かったような……
「お前、抱えないと降ろせないだろ?」
そういいながら空いている手を私の膝の裏に入れようとしてくる。
『え!?えっ!?なんで!?
わた、私、重いから!歩けるから!!』
「……分かった。手、いったん離すぞ」
川端は手を離すと車を降りて助手席側の方にまわってきた。
(…手、暖かかったなあ)
ガチャ
「おい、降りられるか?」
『うん…』
ドアを開けて差し伸べられた手を借りて、立とうと腰を浮かせたとき――――
私の体が宙に浮いた。
「よっ、と」
…え?
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