誰かお願いつかまえて
第8章 持つべきものは………
「…とりあえずもう遅いし、家まで送るから」
エンジンをかけるとさすがに申し訳ないと思ったのか、手を引っ込めてブランケットを抱きしめた波香。
寂しそうな目をする彼女をほっておくことができなくて、
「…手、出せ」
川端が左手を差し出すと、おずおずと波香の手が重ねられる。
その手を握り返してギアチェンジをする。
「行くか」
『……は……や、なの』
車を少し前に出したところで、とても小さな声ではあったが何かを主張した。
「…え?」
『ひとりは……いや、なの……』
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