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ある日のこと――。


鳴海の目の前に一人の女性の姿があった。


「ちょっといい？」


自分とは別次元の雰囲気を漂わせる女性に鳴海はどうしたらいいのかわからなかった。


「わ、私に何の用ですか」


「柏森千種って知ってるでしょ」


女性の問いかけに鳴海は小さくうなずいた。

「彼、あたしと知り合いなの」


タバコに火をつけ、気だるい感じで告げた。

更に千種とは、ホストと客の関係だと明かした。


「……柏森さんはもうホストじゃないんですけど」


「そうだった。だけど、やはり探したくなるのよ」


「彼はあなたのこと知らないんです。これ以上つきまとうの辞めてもらえますか」


怒りを押し殺してレイナに忠告した。