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サバイバルヘルパー

第3章 探検

 思い当たるのが、トイレの奥だ。


「なんか、つい数分前のトラウマに襲われているが……いくしかないな」


 俊輔は家の裏側にむかう。


 何度も井戸にあった遺体を思い出してしまう。


「だめ、怖くない。なにも出ない……出ないでね」


 そう祈りながら、トイレの前に立つ。


 なぜだろう。扉を開けてないのに、あの匂いが鼻にくる。


 肩から首にかけ、ズーンと鉛が入ったような、痛みに近いこりがくる。


 行きたいのは、あの裏だ。


 あの奥に道がある。


 俊輔は横にまわり、トイレを抜けた。


 ほどよい大きさのゲジが、壁にへばりつき、ジッとしている。こちらの様子をうかがっているようだ。


「だいたい、トイレって、あまり好かれない虫が来るな……田舎の高速道路のパーキングエリアのトイレにでっかい蛾がいたもんなぁ……」


 それと同じ蛾が、目の前をはばたいてきた。


「うわっ!!」


 驚いて倒れそうになる。


「やめろっ!! 空想を現実化させて出てくるなっ!!」


 予測出来ない動きをする虫に、軽い動揺をおこす。



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