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未知夢

第7章 誤認

 繁は隣の人の名前を知らなかった。


 刑事は前のめりになり、繁の顔をジッと見た。


「その人にもいろいろ聞いたんだが……あの日、帰ってたんだな」


「!!」


「1時過ぎに間違えて隣の部屋を叩いてたそうだな」


 繁の表情が晴れてきた。自分が言いたかったことがまさにそれ!


「そうだ! そうですよ!! 昨日、おばちゃんにそれ聞きました!!」


「じゃあ、どうやって帰ってきたんだ?」


「それがわかりません」


 まだ謎があった。いったい、どうやって帰ってきたのか?


「それと、もうひとつ。お前が帰って来てるのを裏付ける証言が出てな。実は、アパート入口前で座り込んで眠ってるお前を起こした、深夜巡回中の警官がいたんだ」


「そうだったんだ……それは知らなんだ」


 繁は安堵の表情を浮かべる。


「まだ終わったわけじゃない。どうやって帰ってきたのか? と、もうひとつある」


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