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未知夢

第4章 容疑

 夢にはならなかった。


 後部座席の真ん中で、うなだれる繁。


 何度もそんなシーンをニュースで見たことがある。


 違う点はフラッシュがたかれ、光って顔が照らされた瞬間、画面が止まるシーンがないことだ。


 午前中、それも報道人などもいない。


 でも、違う……それ事態が違う。自分はやっていない。


 そう信じたい。


 酔った勢いで殺害。あり得ないこともない。


 胃が痛くなってきた。


 車の匂いが、これだけ嫌なものに感じたことはない。


(神様、本当にいるのなら、ぜひお救い下さい。僕はもう何も悪い事はいたしません。ガムはちゃんと紙に包んでからゴミ箱に捨てますから……綺麗な女性を見て空想の中でレイプいたしませんから……電車内の七人掛けの席はちゃんと詰めて座ります……マナーの悪い連中に勇気をもって立ち向かいますから……その他……)


 そんなことを思ったりもした。


 いつの間にか……なにも考えられなくなっていた。



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