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ネムリヒメ.

第23章 薔薇の刺、棘の鎖.






「なにやってんだ、てめぇは…」

「………っ」


突き刺さる魔王の視線と言葉の槍

雅は息をのんだまま、横目でもうひとりのオトコの姿を横目で探った


「っ……!!」


しかし、見ればビーチチェアにふんぞり返ってミルクティーを美味しそうにすする望

雅の視線に気づいたのか、相変わらずの悪戯な笑みをこちらに向け、ヒラヒラと手を振っている


クソッ…

邪魔を仕掛けてきたヤツはお咎めなしかよ


「っ…そんなのアイツに」


…聞けっての!!

怒りてぇのはこっちだっつーの


しかし…


「おい…オレはお前に聞いてんだよ」


バッシャーンッ…!!


大きな水音をたて、再び水のなかへとカムバックする雅

魔王に蹴り落とされ、望の目の前に大きな水飛沫があがった


「ッ…ゲホッ!!」


不意を突かれ水面で咳き込む雅

冷えるせいで肋骨に響く痛みが増す


「あーららっ♪」


陸のうえでは、珍しく感情を乱す兄の姿に望が楽しそうに笑みを浮かべている


「あんまり苛めるとホントに使い物になんなくなっちゃうよー、結構ガタガタだからね…雅クン」


兄に優等生面をしながら身震いをしてジャケットを羽織る望


「あーあ…見てるだけて寒っ」

「クッ…ソ、望!!」


そんな望に水からあがった雅は尚も突っかかろうとする


が…


「おい…まだ頭冷えてねぇのか」


濡れた肩を掴んだ渚がそれを制した


「望、お前もこれ以上煽るな」

「はぁーい♪」







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