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ネムリヒメ.

第23章 薔薇の刺、棘の鎖.






……………




「まだまだだね、雅♪ちょっと鈍ってるじゃないの!?」

「っるせ!! 生意気が」


冷たい風を切る拳

闇を裂くように蹴りあげられる脚


雅と望…


ギャラリーもまばらなプールサイドの一角は、目が眩む程眩しいふたりのリングと化していた


勢いよく出された雅の右ストレートを、タイミングよく上体を傾けて余裕でかわす望


「フフン、バーカ♪」

「クソっ」


望はへらっと笑うと、その勢いで雅に向けて右ボディの拳を繰り出した


「ッう…!!」


見事に当てられ雅は、苦痛に顔を歪め僅かに怯む

望はその隙にボディに連打を狙い、すかさず距離を詰める…


が、


「甘えな、望」

「……っ!!」


雅は急にけろっと表情を一変させニヤリと口元を歪めると、下腹部目掛けた前蹴りで望の接近を阻んだ


前進攻撃を仕掛ける相手を止めるように正面から蹴るストッピング・キック

望が身に纏う真っ白なジャケットとパンツに、ダークブラウンのドレスシューズの裏をグリグリと押し付けながら雅が笑う


「腹黒のくせにそんなの着てんじゃねぇよ。汚れたくなかったらしっかり避けんだな」

「わざと汚すな、ど阿呆!!」

「は!?知るかよ、仕掛けといて言ってんじゃねぇ」


汚れひとつなかった白地にまざまざと足跡をつけられ声を荒らげる望

雅は鼻を鳴らして軽く笑うと一旦離れ、間合いを取った





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