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ネムリヒメ.

第19章 記憶の中の摩天楼.






「耳真っ赤。ホント飽きないねぇ、お前って」

「うるさいな…もう」


なんて言いつつ何気なく歩調を緩めてくれてるあたり、今日はもう彼には…

はぁ…
なにも敵いません


「…ありがと」

「はいはい、オレじゃなくてちゃんと前見ろよ」

「…!!」


─本日、ガードもカウンターももはや不能のため、すべての攻撃はクリティカルヒットします─


そんな解説がどこからか聞こえてきそうな最中、

渚くんはすっかりアタシの扱いに慣れたらしく嫌な顔ひとつせず買い物に振り回されてくれた

そして、ひととおりショップを見終えたあとは、ホテルのなかを案内してくれて、最後に最上階にあるバー・ラウンジに連れてきてくれた

そこはニューヨーク・アールデコで統一された重厚な空間で、コロシアムのような3層になったフロアはどの層からも美しい夜景が見渡すことができる


「だいぶ歩いたから疲れたろ、何にする?」


彼に施されゆったりとしたソファー席に案内される


「ん…ドライマティーニ」

「へぇ……それ、浮いてんのさくらんぼじゃないけど」

「じゃ浮いてるやつ」


渚くんは少し意外そうな表情をしてから笑うと、ドライマティーニの他にマンハッタンをオーダーしてくれる


…にしてもさすがにちょっと疲れたな


さすがアジア最大級のカジノホテル

地上50F以上のこの建物のなかには、様々な種類のレストランはもちろん様々な施設が入っていて

美術館にシアターに劇場

屋内外のプールにスパにジム

それからチャペルにパーティールームもあって…



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