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ネムリヒメ.

第16章 散らばるカケラ.






「ブッ…だから言ったろ!?」


一部始終を聞いていた渚くんは吹き出して、いつだかのようにお腹を抱えて大爆笑を始める始末

か、楓!?

なに…なんなの、このギャップ…


『ちぃ、昔から変わんないな…そのくらいワガママ言えばいいのに』

「っ…はあ!?」


驚くなか、そう返事をしたのも勿論アタシじゃなくて、必死に笑いを堪えている渚くんだった


「笑わせんなよ、これ以上ワガママとか…」

「ちょっ!!」


どれだけこのやり取りがツボなのか、涙目で笑う彼を睨んで渾身のパンチを繰り出してみるも、あっさり交わされアタシの拳は空を切った


「ちーちゃん、ナギのことチクるなら今だよ」


なんてフォローするように言ってくれた葵くん


なのに……しっかり笑ってるし!!


もーう!!

楓とちゃんといっぱい話したいのに、なんかそれどころじゃなくなっちゃってるんですけど!!

しかし、


『そこにいるヤツ全員処刑な…』


はっ!?


再び電話口から漏れるドスのきいた低い声に再び静寂が訪れる


「……………」


え、なんなんの、ホント…


『ところでさ、ちぃ…こないだの夜なんだけど…』

「えっ、あ、こないだって…」


あ、優しい楓 再び♡


『ほら、お前が帰国した日』

「あ…う、うん」


それって、アタシが渚くんたちに初めて会った日のコト…

だよね……





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