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ネムリヒメ.

第15章 イチゴタルト.




「ナーギ♡ お帰り、待ってたよ♡」

「…んだよ葵、気持ち悪ぃな…喧嘩でも売りにきたわけ」


笑顔で部屋を訪れた葵の姿に、渚が不機嫌そうに灰皿にタバコを押し付ける


「悪ぃけど、桃色の風吹かせてるお前と話す気分じゃねぇ」

「ナギはいつもより真っ黒じゃない♪ ね、ちょっと久しぶりにオレと飲まない!?」

「なぁ…聞いてるか、人の話し…。なんなら、お前の目の前も真っ黒にしてやろうか」


葵の軽い態度はいつものコト…

だが、今日の渚にはそれがやけに勘にさわる

渚から沸き出すカオスとも言えような真っ黒な空気

しかし…


「怒んなーいの♡話ならオレが聞いてあげるかーら」


そんな空気にもたじろがないのがこのオトコで、

さらには葵の春風のような強烈な桃色オーラは、渚のブラックオーラを飲み込む勢いで部屋に滞留して渦を巻く

桃色と黒…かなり微妙なマーブル模様の空気の下、気持ちのいいくらい悪びれる様子のない葵に、渚が諦めたように口を開いた


「あーあー、ならよく聞け…

いったいお前は何人オレに尻拭いさせんだよ、自分のオンナ……ったく、携帯切りやがって!!」

「あぁ、ごめんごめん」

「そもそもお前が連絡つかねーからって、なんでオレにかけてくるわけ…

携帯鳴りすぎ、最悪オフィスの電話鳴らすヤツもいるし、仕事になんねーし、業務妨害も甚だしいんだけど」




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