テキストサイズ

ネムリヒメ.

第15章 イチゴタルト.






─数時間前…



「はい聖、お土産♪」

「なにこれ…」


聖の部屋の扉を叩いた葵の手には、例のパティスリーで購入したケーキの箱


「イチゴタルト、ワンホールお前にやるから」

「は!?」

「他にもちゃんと買ってきてあるから、遠慮なく独り占めして♪じゃね」

「ちょっと…」


軽やかに微笑んで立ち去ろうとする葵を聖が引き留める


「こんなのいらないから、ちーちゃんは?」

「今日は静かに寝かせてあげてよ」

「答えになってないんだけど…」

「え、聖やきもちやいてんの!?」

「………」


聖は返事を返さず、挑発するような葵を栗色の瞳でに睨み返す

しかし、


「お前の相手してやってもいいんだけど、オレ疲れてるからケーキ食べて寝かせて」

「は…甘いのなんて普段食べないくせに、どういう風の吹き回し?」

「いいでしょ」


そんな聖の視線を軽くかわしながら、部屋の入り口に着いた腕にカラダを預けたまま口元をニヤリと歪める葵


「あっそ…じゃ眠れば、永遠に」


ゲシッ!!


「いって!!」


そんな葵を聖がいつものノリで蹴り飛ばす


そして聖が扉を閉めようとした時だった


「………!!」


突然 葵に腕を引かれ、バランスを崩した聖はあっという間に壁に押しつけられる

驚いて顔をあげると、目の前には瞳をギラつかせる葵の顔があった




ストーリーメニュー

TOPTOPへ