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ネムリヒメ.

第15章 イチゴタルト.




絡められる熱い舌、鼻から抜けるくぐもった甘い声、蜜の音が響く車内の空気が自分たちのまわりだけ熱くなる


濡れた唇の隙間から葵くんが低い声で囁いて、彼の深くて甘いキスに胸のなかのモヤモヤも、頭のなかのごちゃごちゃも、すべてを真っ白に打ち消される

絡み合った熱い吐息に曇った窓ガラス

彼の色気と熱が頭の芯を痺れさせ、カラダの芯を溶かしていく

綺麗な指がアタシの髪を掻き上げはらりと揺らせば、甘いシャンプーの香りと彼の爽やかな香水の匂いが混ざり合った


「ちーちゃん…色々あって戸惑うのは当たり前だけど…」


唇を離した彼が凛とした眼差しでアタシを見つめながら続ける


「オレたちと一緒に過ごしてる時間も、今こうしてオレといるのも、ちゃんと現実だから受け止めて…」

「……!!」


あ……

目頭が熱くなって、瞳にじわっと透明な幕が張る


「って泣かないで…そんな顔見たかったわけじゃないから」

「っ…」


葵くんは、今度は優しい笑顔を浮かべると溢れそうになる涙で瞳を揺らすアタシの頬をそっと撫でる


「今は素直に甘えればいいんじゃない…抱かれたかったら抱かれれば…」



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