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ネムリヒメ.

第15章 イチゴタルト.




…ダメだな、アタシ

甘えて、人肌でなんでも解決すると思ってない!?
…最悪。

それでも、すがりたかった
すぐ近くにある誰かの優しさに甘えたかった


すると突然、黙ったままだった葵くんが歩道に車を寄せ停車させた

え…

車を降りて、助手席側にまわった葵くんが静かにドアを開ける


「降りて…」

「え…」


アタシは彼に手を引かれて車を降りるやいなや、グイッと引き寄せられ抱き締められた


「ね、帰ったらって…」

「オレが無理…」

「……!!」

「ゴメン…そんな顔させるつもりなかった」

「っ…」


なんで葵くんが謝るの

なんでそんなコト言うの


もとはといえばアタシのなかのモヤモヤは、この非現実的な現実をつくりだしてる貴方たちのせいだって言おうとしてるんだよ

先に謝るなんて…やめてよ

そう思ったら、閉じ込めていた想いが込み上げる


「なんで葵くんが謝るの!? こうしてモヤモヤしてるの、葵くんたちのせいだって言おうとしてるんだよ」

「………知ってる」

「…っ!!」


開けっ放しの助手席のドアの前で向き合うアタシたちを、まだ冷たい春の夜風がさらっていく

少し震えたアタシのカラダを彼の腕がきつく抱く


「ね、話して!?」

「っ……」

「ちーちゃん……」





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