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ネムリヒメ.

第8章 雨.





渚くんは次々と増える荷物を何も言わずアタシから取り上げていく

その綺麗な容姿でスマートに振る舞う彼…

自然にエスコートしてくれる仕草が彼のカッコよさを一層引き立てる


………か、楓には負けるけど


しかし、アタシの買い物やワガママに振り回され文句ひとつ言わないところを見ると、

彼に初めて会った日に、どれだけワガママを言って彼を困らせたのかと我ながら鳥肌がたった


しかし帰る頃には

「お前…買いすぎじゃね…」

と、さすがの彼にも呆れられる始末で…


「あー、お前乗るとこねーわ」

「………」


フライング・レディがボンネットの上で微笑んでいる彼の車は、気がつけばトランクも後部座席も荷物でギュウギュウ状態


「人以外の何かでこれパンパンにしたの初めてなんだけど…」

「…あはっ」

「あはっ、じゃねーよ」


苦笑いを通り越しすっかり呆れ果てた彼に、そこは笑って済ませようとするものの、

さすがにこれ以上買ったら本当に乗れなくなりそうだったので、もういい時間だし、助手席が荷物で埋まる前に今日のところは撤収することにした




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