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ネムリヒメ.

第6章 ホットミルク.






「バーカ………」


渚くんがアタシを見つめたままそっと微笑む


「そんな顔してんのに…強がんなよ…」





「っ…!!」



ダメだ…

そんな優しい声で彼にそれ以上言われたら、涙が溢れそうだった




顔をあげて渚くんの腕にコトンと額を押し付ける…


目の前が彼の匂いでいっぱいになって、胸が締め付けられた


「…泣けばいいのに」


「………うるさい…」


涙が零れて声がかすれる


「…我慢すんな」


「………」


もう泣いてるの知ってるくせに…


彼の温かい手がアタシの頭をそっと抱き寄せる



なにも聞かない彼の優しさが心地よかった

その優しさも体温も彼の全部が心地よくて、だんだん胸が苦しくなって嗚咽が込み上げる












「…っ……ホットミルク…飲みたい……」






彼の腕にすがり付くように顔を寄せ

なかなか素直になれないまま、精一杯のワガママを呟く







「ん…」




彼は一言だけ返事をすると、アタシが落ち着くのを見計らってソファーからゆっくり立ち上がる


涙の跡が光るアタシの頬を拭うと、彼はそっとアタシの手を引いた




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