
凍夜
第6章 浸食
「わかったよ……。リナさん、僕は、必ず連絡するよ。今夜はおとなしく君をここで見送りするとしよう。僕は後からゆっくり帰る。送ってあげられなくてすまないね。」
「いいえ。今日は本当にごめんなさいね。川原さんも、お気をつけてお帰りくださいね。それではわたくしはこちらで失礼させて頂きますね。御馳走様でした。」
私はもう一度深々と頭を下げた。
頭を上げた所で川原と目があった。
野心がたぎる瞳だった。
すかさず私は笑顔をつくり、ドアに向かった。
「お休みなさい♪」
振り返って手を上げた。
