
凍夜
第3章 花
「銀さんは、昔からそうだよな。まぁ、いいさ、リナちゃんが非行に走らないならな。」
「いいんだよ、別に非行に走ったって!俺だってもとは愚連隊上がりの何でもありの人生さ。ナベさんとは同じ色になれないよ。」
銀さんは、そう言って冷蔵庫から缶ビールを出しテーブルに置いた。
ワタナベ刑事は、要らないよと手で制し、
「同じ色か!そりゃそうだよ。俺たちは決して染まらないよ。言いかえりゃ追う身と追われる身だ。」と強く言った。
一瞬、重い空気が流れたが、銀さんが、直ぐに口火を切った。
「なに言ってんだよ、ナベさん、今更そんなこと言ったって何も変わらねぇよ、俺は。追いたいならいつまでも追いな!まぁ、仲良くやろうぜ。」
私は、銀さん達の会話を聞きながら、二人の間にある秘密の匂いを嗅いだ気がして、なんだかいやな予感がした。
