山岸君と照井君
第27章 曇天の入口―――……
「麟太郎さん!!やめろ、やめろ!!宏樹…が…宏樹が…死んでしまう!!」
僕は…涙で…視界がぼやけていた…
それでも…僕を…麟太郎さんから逃がそうと…
宏樹は、必死に麟太郎さんにしがみつき!!接触を阻止する!
さすがの…麟太郎さんも苛立ちが募り!!
両手を握り!!拳を倍にし!!
宏樹の頭に!!降り下ろした!
「ぶっぁ!!ぐあっぁ!!」
宏樹の体が…衝撃からか…宙に浮いた気がした!!
そして、無理やり…麟太郎さんから引き離された!!
だが…宏樹の執念か…爪を食い込ませ!!麟太郎さんにしがみつく!
「―――…若いだけで…しがみついてるんじゃないよ…
苑君の恋人は私だよ?勝てる訳ないんだよ…」
そう言うと…
半分…気絶しているのか…
動かない宏樹の爪を……
無惨にも…指から力ずくで剥がし始めた!!
生爪をはがされる痛みと!!
しがみつく…意思の強さで……
宏樹のけたたましい叫び声が…
木霊の死んだ家に響き渡る!!
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