
山岸君と照井君
第11章 強敵―――……。
「ん?母も父も忙しい人達で…
俺を産んですぐに職場復帰したし、家事全般…お手伝いの梅さんがしてくれてたし…
別に、母が作らなくても…」
山岸は、ケロッとした態度で淡々と…喋る……
「つ〜か……お前の両親は…何やってんだよ…」
「両親?
父は、外科医で山岸総合病院の医院長…
母もそこで産婦人科医だ…
産婦人科って…事実24時間営業だから、家にはほとんど帰ってこない…
ちなみに…上の兄二人も医者だ――――…
年も、一番上が31歳…二番目が29歳って……歳がだいぶ離れているんだ」
いや…そ〜言う意味で…“何してんだよ?”って聞いた訳じゃ…ねぇ…よ…
俺は…米屋のパンを…無意識に潰していた!!
こいつが……何か…欠けているのは感じていた…
そう言えば…
―――――…寂しいって…感覚を知らないって…
あんなデカイ家に…夜一人が慣れてるなんて――――…
あり得ない……って…
でも―――――…最初から…
それが当たり前…だと生きていたら…
寂しい…なんて概念が…育たないのは…
当たり前――――――…
