
山岸君と照井君
第10章 意識して―――……。
「だって〜…いつもの宏樹じゃないし…
イライラしてたし…可愛くないし〜…
見てれば解るよ〜」
見てれば…解る――――…か…
「そんなもん?」
「弟よ!そんなもんだよ?」
そ〜いや…山岸…
“兄たちには僕は見えてない”って言ってたな……
山岸………
「なぁ…姉貴に俺はちゃんと見えてる?」
「はぁ?見えてるに決まってるでしょ?視力はいい方よ?――――――…って…
違う意味でかな?
見えてるし…見ていたい…
宏樹の成長は、私も父さんも母さんも…楽しみなんだよ?」
「///楽しみって――――…」
「家族愛…半端ないでしょ?キモイでしょ?」
姉は、笑いながら…俺の頭をポンポンと触り……部屋を出ていった―――――…
「家族愛…か…
山岸は――――…家族に愛されているのかな…
愛か―――――――…」
俺は、山岸と繋いでいた手を見つめる――――――…
「――――…よし…そこは!!俺の愛でカバーだな!!
で、問題は!!米屋だ!!」
あれは、絶対!山岸に気がある――――――――…
家庭教師……危険で甘い香りがプンプンするが……
鈍感な山岸に……米屋も苦戦しているって感じだろう…
あ〜言うタイプは、意識するまで時間がかかるが!!一度ハマったら――――…バリバリ意識するタイプだよなぁ〜…
米屋に意識される前に!何とか先手を――――――…
プルル〜…プルル〜…
机のスマホが……鳴り出す…
