無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

５１『みなぎる力』


グレイスが森の入口に着いたころには既に雨が降り始めていた。



入口の手前ではフクロウが木に止まってグレイスの来るのを待っていた。



フクロウはグレイスの姿を見ると再び羽ばたき、森の闇の中を滑るように飛んでゆく。



それをまた追うグレイス。







｢どうしてだろう？
森の中が…道が、見える！｣


グレイスは自分の体に不思議な力がみなぎっているのを感じていた。
どこまでも走ってゆけそうな…



｢ハァ、ハァ…｣

荒い呼吸をしてはいるものの、それが息切れなのかさえもわからない。



木々を抜け、岩を避け、草むらを飛び跳ね、まるで動物のようにグレイスは森の中を走り抜けてゆく。