小春食堂【ARS】
第20章 ぶぶ漬け【潤】
「こんばんは…。」
店の引き戸を開けるともう閉店の時間のようで、女主人が店内を片付けていた。
「あら、坊(ぼん)。」
内心“俺は坊じゃねぇ!”とムカッとしたが、ぐっとこらえた。
「あの、この前はすみませんでした。お金、払いに来ました。」
頭を下げて言った。
「うん、きっと払いに来てくれると思ってた。」
女主人は、お金を受けとると、あの時の借用書を俺に返した。
「坊、ぶぶ漬けでも食べて行かへん?」
「えっ?」
いくら俺でも知っている。京都では、“ぶぶ漬けをすすめられたら『帰れ』っていう意味”だと。
「それって、もう二度とこの店に来るな、ということですか?」
女主人は、きょとんとして目を丸くし、口をあんぐりあけると…、腹を抱えて笑いだした。
店の引き戸を開けるともう閉店の時間のようで、女主人が店内を片付けていた。
「あら、坊(ぼん)。」
内心“俺は坊じゃねぇ!”とムカッとしたが、ぐっとこらえた。
「あの、この前はすみませんでした。お金、払いに来ました。」
頭を下げて言った。
「うん、きっと払いに来てくれると思ってた。」
女主人は、お金を受けとると、あの時の借用書を俺に返した。
「坊、ぶぶ漬けでも食べて行かへん?」
「えっ?」
いくら俺でも知っている。京都では、“ぶぶ漬けをすすめられたら『帰れ』っていう意味”だと。
「それって、もう二度とこの店に来るな、ということですか?」
女主人は、きょとんとして目を丸くし、口をあんぐりあけると…、腹を抱えて笑いだした。
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