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４月の半ばの早朝、うちは家を出た。

トランクと、大野さんの絵を持って。

新幹線で東京に向かった。

あてはなかった。

安いホテルに泊まって、大野さんを探した。

東京にはたくさんの美術研究所があった。
何校も電話してみたけど大野さんは見つからなかった。

もう一度会いたい。

会ってお礼がいいたい。

短い間やったけど、大学生の気分を味あわせてくれたこと。

私の知らない芸術の世界を見せてくれたこと。

私の知らない新しい世界を見せてくれたこと。

私に光輝く５日間をくれたこと。

お礼が言いたかった。