
センシティブ♥ボーイ
第24章 あいつのために
まずい、そう思ったときにはもう遅かった。
ニヤニヤして見つめる多くの視線が俺に突き刺さる。
だけど、まだいい。
まだいい。っていうのは、きっとこのファミレスにいる人たちは佐藤っていうのが女だと思い込んでいるから。
だけど、ツルは違う。
佐藤と示されるそいつが完全に男であることをわかっている一人だ。
ツルは立ち止まって、俺を振り返ったまま、何とも言えない、尋常ではない顔をしていた。
必死に頭の中を整理しています
って感じの顔。
「………と、とりあえず、出んぞ」
俺はカバンを肩に引っ掛けると、好奇の視線から逃れるようにツルを引っ張ってファミレスから飛び出した。
こんな風に言うつもりなかったのにっ
あーバカだろ。マジで。
そーっとツルを盗み見ると、何かすごく考え事をしているみたいだ。
暫く無言で二人で歩き続けて。
気まずい雰囲気が流れる。
あーーもう。
だから言うの躊躇ってたんだってば。
仲いいからこそいえねーことってあんだよ…
俺は溜息を吐いて、頭をガシガシと掻いた。
