 
バラードは君だけに
第4章 フラッシュバック
次の日の朝。
私は緊張しながら教室へと入った。
珍しく素顔を晒している私に、数人のクラスメートがちらっちらっと見てくる。
私はいつも通りに席に着いた。
きのう海斗から心強い言葉をもらったから、平気だ。
すると、私の席に二人の女子がやって来たのである。
「おはよっ。鈴木さんだっけ?
いつもみたいにマスクしてないから、最初わかんなかったわ」
声を掛けてきたのは、クラスでも派手目な感じの石川サオリさんだ。
「お、おはようございます…」
私は久しぶりにクラスの子と話して、どぎまぎしている。
「ちょっと、うちらにそんな敬語使わないでよー」
クスッと苦笑いして言う子は、やっぱりお化粧バッチリの杉田レイナさん。
するとサオリさんが言った。
「鈴木さん、いつの間に海斗と仲良くなったのぉ?」
「そうそう。みんなの前で彼氏宣言しちゃってさ。なかなかやるじゃんあいつ」
「はあ…」
私はどう答えていいのかわからなかった。
「ねっ鈴木さん。これからはうちらとも仲良くしてくれない?」
「わ、私と?」
サオリさんとレイナさんは、なぜかニコニコ笑っていた。
 
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