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秘密のアルバイト

第4章 もう一人のお兄さん

「お~い、かず!
早くしないと、遅れるぞ」

「ちょっ、ちょっと・・・ちょっと待って」


雅紀が呼びに来る。
慌てて仕度をする俺。
学校へ行くときの、いつもの光景。

今日から2学期。


「おはよう、雅紀」

「おはよう、かず。今日のテスト大丈夫?」

「なんとかいけるんじゃねぇ?」


今日は始業式であり、実力テストの日でもある。


「かず、何か元気ないけど、どうした?
勉強疲れか?」

「んっ?全然大丈夫、疲れてなんかないよ」

「それならいいけど。
何かあったら、俺に話せよ。
お前が元気ないと、心配でしかたないから」

「うん、わかった。ありがとう」


元気だという事を示したくて、雅紀に向かってニコッと微笑んだ
雅紀は顔を赤くして、目をそらした。


「・・・?」


何だこいつ。
何顔を赤くしてるんだ?

まっ、いっか・・・

でも普通にしているつもりでも、態度に出てしまうものなんだろうか。


「連絡、来ないなぁ」


寂しく思うのは、どうしてなのかな。


学校に着き、教室へ。
雅紀と久しぶりに会う友達と、会話が弾む。


「学校のある日、しかももう少しで始まるのに、誰だ・・・あっ!!」


椅子から立ち上がり、窓際まで行った。


「かず、どうした?誰からなの?」


そんな言葉も耳に入らないくらい、慌てていた。

お兄さんからだった。




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