甘い果汁
第8章 とろける果汁
バンッ
「悠也!!!」
屋上のドアを勢いよく開けた。
「? 亜衣?」
きょろきょろと見渡してもどこにも悠也の姿はない。
「ばーか。上だよ、うーえ」
上を見ると、悠也の髪の毛がふわふわと見えた。
「ゆーやっ、悠也っ!」
息を切らしながら、はしごを上った。
「そんなに呼ばなくても、俺は逃げねーって」
なんだか涙がこみ上げてきて、
悠也の胸に飛び込んだ。
「…どした?」
「悠也のせい…ぐすっ」
私の背中に悠也の手が回って、
私を優しく抱きしめた。
「なー」
「ん…?」
「この袋、大丈夫なの?」
「!? う、うわあああっ」
ケーキが入った袋は、
箱からクリームが漏れて、散々なことになっていた。
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