すべてはあの日から
第5章 無性に…
「…お婆様、お話とは 一体どういったご用件でしょうか」
私には分からないであろう書類が大量に重ねられた机で
それらに目を通し サインをしていく現御当主 清棲 ヨミ。
「あぁ、真央に縁談が舞い込んできてね」
書類から視線を反らさずに続ける
「明後日は空けておきなさい」
「縁談…ですか…」
「…何か不満でも?」
「……いえ」
一瞬、
ほんの一瞬だけ、
斎藤さんが頭を過った。
「そこそこ良いとこの御曹司だそうだ、愛想良くしておいて損は無い」
「…はい、失礼します」
嗚呼、
足枷でも嵌められたのかというくらい足取りが重い
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