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第3章 接近

愛華にとってヒロが店に来るのは楽しみであった。
他のマゾみたいに料金の発生しないプレイをねだってくるわけでもなく、
普通に友達のような関係になっていたヒロは
女王様っぽい振る舞いを面倒くさがる愛華にとってリラックス出来る相手だった。
彼女が居るときは顔を出さないし、別れたら
「脚の匂い嗅いだらフラれた!」なんて言いながらやってくる。

あれきりプレイはしていないから、プレイは合わなかったのね。と思いきや
「愛ちゃんとプレイして以来、誰ともSMしてない。」なんて意味深なことを言うヒロ。
なのに2人で食事に行こうとか、そんな誘いはない。あるのはママと3人で、というお誘いばかりだ。



脚フェチだからだろう、ヒロは脚のマッサージが上手で他の女王様からもよくマッサージを頼まれる。
それも、他の女王様には「今日は疲れてるから」なんて断る事があるのに愛華の時だけは絶対に断らない。

そして愛華も
「愛華女王様は触られるの大っ嫌いだから気を付けなさいよ」
などと他の女王様が忠告するほど、触られることに対しては凶暴に拒否するが
ヒロのマッサージはとても心地よかった。
脚を触りたいだけのマッサージとは違って、安心して預けられるからだろうか。


「ひゃっ!!!な、舐めたよね?!今!」
ある日、マッサージを終えたヒロが不意に爪先をペロリと舐めた。
蹴られるか殴られるか、と覚悟していたヒロだったが、予想に反して打撃は一切なかったばかりか
その反応のあまりの初々しさに思わず
「かっわいいーー!!」と叫びそうだった。

「ごめん!だめだった?」
気を取り直して謝るヒロに、愛華から返ってきたのは
「こ、心の準備が出来てなかったから!」
と女王様らしからぬ可愛らしいものだった。



初めて不意に爪先を舐められてからというもの、マッサージを終えた合図に爪先にキスされるのが定番となっていた。
そこで愛華は気付いた事があった。

他の女王様の時は絶対に舐めないし匂いも嗅いでるとこ見ないなぁ・・・他の女王様みたいに断られたこともないし。


そうしてヒロの事を考えると、そういえば・・・と色々な心当たりが出てきた。

もしかして、私の事好きなのかな?

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