
エスキス アムール
第66章 木更津の動揺
木更津が弱ったりしてたのって、ニューヨークに来る来ないの話になったときくらいじゃ…
いや、安心してもらっていいんだけど。
俺が木更津以外に目がいくわけもないし、靡くわけもないし、いいんだけど。
ちょっと、ちょっっっといいから、なんか俺のことで焦っているところを見てみたいっていうか。
あの優雅な木更津を、俺のことで乱してみたいっていうか。
「………要するに、ただの惚気ね」
って、良子ちゃんに言ってみたら、バッサリ切られた。
でも、意外と彼女は乗り気だったみたいで。
俺が「こんな話してごめん」と、苦笑いで席を立とうとすると、
「いい考えがあるんだけど。」
彼女は楽しそうな顔をして、俺を引き留めた。
「私も焦る社長、みてみたいしね。」
