エスキス アムール
第60章 全てを捨てたって
「…つまり…、
最初は、波留くん目当てだったわけじゃなくて、僕から波留くんを奪うのが目的だったはずだ。
…違う?」
「……」
「斎藤くんが言ってたよ。
『最近、矢吹変わったんですけど…、俺には無理しているようにしか見えないんです』って。」
「…斎藤が…?」
「うん。
『あいつにはあいつの良さがたくさんあるのに。真似する必要なんてないのに』って。」
僕には僕の良さ……、
そんな。
…あいつが…?
「最も、僕はあの時、誰の真似しているのかさっぱりわからなかったけど。」
「え…?」
「だって、似てないよ。全然。
僕はそんなに胡散臭く…あ、失礼」
「なっ……!!」
カチン。
本当に失礼にも程がある。
ずっと僕のことを胡散臭い奴だと思って見ていたのか。
これでもよく光平くんに似ていると言われているのだから、光平くんだって胡散臭いってことだ。
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