
エスキス アムール
第52章 第二の木更津
【木更津side】
「あ、光平くんだ。」
外で昼食をとっていたとき、そんな声が聞こえて、声がした方を見上げると、矢吹がいた。
「久しぶりだね。
そうかそうか、木更津製薬もニューヨーク進出だもんね」
「うん、お陰様でね。
矢吹も順調みたいだね。」
矢吹とは、まだ20代前半のころ企業セミナーが一緒で、それなりに仲良くなった。
それなり、というのはすごく仲良くなったわけではない。つまり、別に仲良くないということだ。
なんというか、彼からは胡散臭さしか感じない。
別に何をされたというわけではないから嫌いではないけれど、人間として好きなタイプかと言われたら、頷きにくい。
上っ面の挨拶だけで済まして、昼食を続けようと思ったけど、思いがけず矢吹はぼくの前に座ってこちらをニコニコとしながら見つめてきた。
「何か用?」
「ふふ、冷たいなあ。光平くん」
少しイラっとしたけど、気にするほどでもない。
珈琲を飲み干すと、立ち上がる。
「じゃあ、僕は行くから」
少し席を離れたとき。
「いい男だねえ。
………大野波留って。」
背中に投げかけられたその言葉にピタリ、足が止まった。
「あ、光平くんだ。」
外で昼食をとっていたとき、そんな声が聞こえて、声がした方を見上げると、矢吹がいた。
「久しぶりだね。
そうかそうか、木更津製薬もニューヨーク進出だもんね」
「うん、お陰様でね。
矢吹も順調みたいだね。」
矢吹とは、まだ20代前半のころ企業セミナーが一緒で、それなりに仲良くなった。
それなり、というのはすごく仲良くなったわけではない。つまり、別に仲良くないということだ。
なんというか、彼からは胡散臭さしか感じない。
別に何をされたというわけではないから嫌いではないけれど、人間として好きなタイプかと言われたら、頷きにくい。
上っ面の挨拶だけで済まして、昼食を続けようと思ったけど、思いがけず矢吹はぼくの前に座ってこちらをニコニコとしながら見つめてきた。
「何か用?」
「ふふ、冷たいなあ。光平くん」
少しイラっとしたけど、気にするほどでもない。
珈琲を飲み干すと、立ち上がる。
「じゃあ、僕は行くから」
少し席を離れたとき。
「いい男だねえ。
………大野波留って。」
背中に投げかけられたその言葉にピタリ、足が止まった。
