エスキス アムール
第50章 甘えたい甘えられたい
「どうしたの?今日は」
可笑しそうに笑う木更津をよそに、またぽんぽんと自分の膝を叩く。
「膝枕、してくれるの?」
その言葉に頷くと、よいしょと手をついて俺の膝に頭を預けた。
仰向けになって寝るから、真上には俺がいて。
真下には木更津で。
あまりないこの状況に、顔が熱くなった。
「ふふ、なに照れてるの。自分から誘ったくせに」
「…ぅ…っ」
意地悪そうな顔をして、そんなことを言って、手を伸ばして俺の顔に触れてくる。
下から頬を撫でられて、くすぐったくて顔を動かすと、可愛いねと、笑われた。
そうだ。
これじゃあいけない。
木更津の頭に手を伸ばして、髪の毛に触れてゆっくりと梳く。
サラサラの髪の毛が、指の間を通っていって気持ちいい。
木更津を見ると、きもち良さそうに目を瞑っていて、可愛いと思った。
そういえば、最初にキスしたいと思ったのは、木更津の寝顔だったな。と、付き合う前の頃を思い出す。
あの頃は、自分を誤魔化してそんなことできなかったけど、今ならできる。
すーっと指で優しく輪郭をなぞる。
綺麗な形をした鼻に触れ、瞼に触れ唇に触れ。
そして、そっと唇に自分の唇をくっつけた。
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