
エスキス アムール
第35章 彼と彼と彼女
「お前が別れてもあっさりしてるのは
いつものことだけどさ。
一回はるかちゃんに振られたときは
今までにないくらい落ち込んでたじゃん。」
「………」
「好きだったんだろ?」
落ち込んでたよ?
もう、呆然としてたし。
自暴自棄になってたし。
もうどうにでもなれって。
だけど、ドン底の気持ちから救い出してくれたのが木更津で。
最初は良いやつに巡り合えたなくらいにしか思ってなくて。
家において貰うお礼に家事くらいやるかって。
そんで、ほとぼり冷めたら
ニューヨークにいって、再スタートでもするかって。
そんな軽いものだったんだ。
なんて言うか良い友達がいて良かったなくらいの。
だけど、
あいつの料理食べたときの反応とかさ、
寝てるときの顔とかさ、
恥ずかしがる顔とかさ、
ああ見えて実は気遣いなところとかさ
いろんなところ見たら、
可愛くて、愛おしくて。
唇みるとキスしたくなったり、
触って欲しいとか思ったり
もうなんていうのかな。
あっという間に、
あいつに引き込まれてっちゃったんだよ。
なんて、
言えない!!!!
