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悪魔的ドクター

第12章 姉弟

「咲桜ちゃん…」


「あたしは彼氏もいないので『愛する』って事が、正直まだわからないです。だけど、思うんです。『この先も愛していけるかな』って不安になるんじゃなくて、『今この瞬間、この人を愛してる』って思う、その気持ちが大切なんじゃないかって。先を考えるのは大事かもしれないけど、今がないと先はもっとないです…」


「…ありがとう。今までそう言ってくれる人がいなかったから、すごく嬉しいわ。咲桜ちゃんに元気をもらったわね」



椿さんは
うっすら目に涙を浮かべながら
優しく微笑んだ。

その微笑みに
あたしは笑顔を返した。



「本当に嬉しいわ。翔灯に、今はこんな素敵な娘がいるのが羨ましいくらい…」


「え…?」


「あの人、咲桜ちゃんの事、気に入ってるみたいだし♪」


「そ、そんな事はないですよッ」



何を言い出すんですか椿さん!?

思わず心臓バクバクじゃないですかッッ!!



「人を愛する事…翔灯はもう忘れてしまったかと思っていたから」


「え…?」


「姉として、今度は幸せになってほしいって…願ってるわ」



『今度は』…?



「咲桜ちゃんは、彼を見捨てないであげて…」





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