
暗闇で恋しましょう
第37章 幸せな話
「………ひぃ、ちゃん……?」
「………甘え、なんかじゃない。あぁ、きっと、きっとそうだ。それもまた“幸せ”と呼ぶんだろう」
自分に言い聞かせるように、目元を覆い、俺は言葉を吐く。
「怖かった。本当にいいのかって何度だって自問した。でも、答えが出ない内、俺は、ここにいた」
目元を覆っていた手をどかし、杏を真っ直ぐと見据える。
俺の頬に添えられた手に自分の手を添え、頬釣りをする。
俺は、この手も、体温だって、もう誰にもあげたくないんだ
きっと、それがーー
「………見付かった?答え」
「………あぁ」
「杏、俺なーー」
