
暗闇で恋しましょう
第25章 救われたんだ③
何してんだ。俺
甘夏寝てんだし、今の内だろ
一発殴れば、ここに通うのだって
言い聞かせるのに、どうにも体は動かなくて。
「………もしかして俺、ここが居心地いいとか思っちゃってる………?」
「やめろ。気色わりぃ」
………本当、こいつの何が良くてただ大人しく隣に居るのか。
はぁと溜息をつく男と、くわぁと欠伸をしぼーっと遠くを見る甘夏。
穏やかなことこの上ない。
喧嘩も、煙草も、酒も、女も、何1つない。
まるで、昔に戻ったようだ。
「………こうやっていると、お前が不良ってこと忘れそうになるな」
心を読まれたのかと思うほど、どんぴしゃな話題を振ってくる甘夏。
