言葉で聞かせて
第6章 休息?
「っあーーー疲れた」
「運転お疲れ様。途中で変わればよかったね」
「いや、運転は別に大して苦じゃないんだけどよ……」
「なに?」
うーーん、と敦史は考え込んでから
「やっぱりよ、俺昼間に出掛けんのが合わねえのかも。疲労感倍増」
「ふふ、まぁ夜のお仕事だもんね」
明日からまた仕事か
僕が明日何か約束をしていた人がいただろうか、と思案していると敦史が思い出したように聞いてきた
「そーいやあの女よぉ」
「菜摘のこと?」
「名前は知らねぇけど、あのイルカのとこで会ったやつ。あいつ大丈夫か?」
何の説明もない大丈夫、という言葉に仕事柄色々な意味が含まれている
僕はすぐにそれを察知して答えた
「さぁ?結構ヤバい感じがしたね」
「だよなぁ……面倒なことにならなきゃいいけど」
面倒なこと、ね
確かにホストという僕達の存在を恋人のように自分だけのもの、と勘違いしてしまう人は少なくない
それに加えて彼女は一時とはいえ僕の恋人だったんだ
それなら尚更まだ客とキャストという区別が出来ないかもしれない
「まぁ大丈夫だと思うけど。一応釘を刺しておいたからね」
「ふぅん」と興味のなさそうな声を出した敦史を尻目に、僕は湧き上がる嫌な予感を感じていた
休暇、というより
フラグのようだ
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